○月×日 天気:晴れ

セキュアを覗いてみると矢が相当数放り込んであった。
これは使うしか手が無いだろう。

ということで、今日は雪乃嬢から前に聞いていた
Despiseに行ってみることにした。ブリタニアから北へ走り、
突き当たりの岩肌の道に沿って北上、三叉路を北西に。
エントランス代わりの青々とした草広場の奥に入り口があった。

Despiseは上の階にリザードマンが、下の階に亜人種が
多く巣食う洞窟だ。そして浅い階層は大して強い敵が出現しない
ので駆け出しの冒険者が数多く訪れる場所だと雪乃嬢から
聞いていた通り、第1下層には巨人のEttinと格闘している
冒険者を多く見かけた。私も早速索敵し、今までの腕を試すべく
Ettinへと挑む。基本的には間隔をあけながらの戦闘なので
危なげなく戦えるが、後方へと下がっている途中にEttinと
ぶつかってしまい2体を相手取るということも少なくは無かった。
基本的には弓を使い相手の棍棒を弾くので問題は無いが、
それでも稀に一撃を食らってしまう。が、私の慣れない包帯でも
十分だった。今日は大分修練を重ね、17kほど稼いで
Despiseを後にした。この金はAliceに渡しておくことにする。

今日は雪乃嬢がしきりにぼやいていた。曰く、飛龍が欲しい
とのこと。なんでも通常はテイマーしか乗れない飛龍だが、
武士道を極めることで心を通わせることのできるものも
存在するという。そんなものに乗れたらいいよね、と子供の
ように目を輝かせて言っているのを見ると雪乃嬢もまだ
子供なのだな、とつい苦笑を禁じえなくなる。同じく前面に
嘲笑を顕にした管理人が全力で殴打されていたが。
どうして毎度毎度突っかかるのだろうか……
と、何故かAliceが深く考え事をしているような顔をしている。
何かあったのだろうか?

夜、相変わらず酒場に行っていたAliceが大きく嘆息して
戻ってきた。何事かと尋ねるより早く、大きな和弓を差し出して
きた。何やら強大な力を感じる……何事だと尋ねると眠って
いる三人を尻目に椅子へ腰掛け水を一口飲み、事の顛末を
話してくれた。

Aliceが酒場に着くなり依頼を頼まれた。
頼んだ主は、家を建てたのはいいが家のルーンをMarkできない
人物らしく、困っているという。そのときは店員以外で魔術師が
居なかったようで、それならとAliceが買って出た。
アンブラという街へとでかけ、少し歩いたところに依頼主の家が
あったのでMarkをし、ルーンを渡し依頼は完了。

そしてその報酬としてこの弓を受け取ったのだという。
それにしても……この弓はそこら辺にある和弓とは明らかに
違う。と、寝付けなかったのかAlyssumが水を飲みに来た。
丁度いいと彼女に弓を見せるとぎょっとした表情になり、
これと同じような雰囲気を持った和弓を相当な高額で売っている
のを見かけたという。そんなものを本当にもらってきて
良かったのだろうか。とにかく、このまま売ってしまうのも
依頼主に対し忍びないし、結局弓使いの私が使うことになった。
……この力に負けぬよう修練を重ねねば。

翌日、旅の鑑定士に尋ねてみた。どうやらTokuno-Artifactという
代物で先日の漆黒サンダルと同様に徳之諸島ができた当初
様々なアイテムと引き換えに手に入れることができたもので、
現在は手に入れることのできない相当なものであるとのこと。
……一層私の手に力が入るのを感じた。頑張らねば。


		
	
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