○月×日 天気:晴れ

外は夜も更けているだろうが、現在はDastardでこの日記を書いている。
NightSightPotionとは非常に便利なものである。

今日も今日とて鍵開けの訓練である。
今日の練習で昨日開けることができなかったパラゴン箱も開けることが
できるようになり、そろそろダンジョンの宝箱にも挑戦してみようと
思いまずはDespiseへと足を運んだ。ここの敵は本来そこまで強くはない
EttinやEarthElementalの類ばかりなので気にするほどでもないのだが、
今回は装備が如何せん貧弱である──幸運のお守りを引っさげた装備重視に
しているために抵抗力があまりない──ためにあまりまともに相手に
することもできない。何しろ武器までこのような有様なので時間を食うだけ
なので、敵に関しては全て無視する形である地点まで走っていった。
少々奥に行ったところで、ここは比較的敵が少なくしかも宝箱が密集している
場所である、と雪乃嬢に教わっていた。早速目の前にある宝箱の鍵を
開けてみると──なんとあっさり開いたではないか。鍛錬の成果である。
確かパラゴン箱には罠が仕掛けられていたため、こちらももしやと思い
Telekinesisの魔法を使い予め叩いてみると… やはり大きな爆発音と共に
付近を炎が支配した。こんな爆発に巻き込まれていたらただでは済まなかった
であろう。事前に情報を集めていて良かった瞬間だ。
だが、私も詰めが甘かったということか。罠に巻き込まれる間隔を数回
見誤り、強烈な有毒ガスに巻き込まれ2・3度意識を失ってしまった。
幸い付近にワンダリング・ヒーラー──善意で意識を失った冒険者の気付けを
行う者たちを総称してこう呼ぶのだが──が近くに居たおかげで荷物を
失わずに済んだ。この世界では気絶すると肉体から精神体が飛び出してしまい、
実際の肉体は倒れたままその場に残る。精神体はワンダリング・ヒーラーに
よって仮の肉体を得て、元々の肉体に触れることでその意識を覚醒することが
可能になる。が、元々の肉体は精神体が分離した時点で既に腐敗を始めて
おり、数分のうちにこの肉体は土へと還る。その場合その酸化現象によって
元の肉体に残っていた物も全て腐食してしまうとの事例が数多くの冒険者に
よってもたらされている。このため意識を失った場合は速やかに彼らの許に
出向き、仮の肉体の状態で元々の身体に触れなければいけないことになるのだ。
雪乃嬢からこの話を聞いたときは流石に戦慄すら覚えたが、まさか自分が
このような立場に立たされるとは思わなかった… 精進せねばなるまい、と
思った瞬間であった。

この後罠の誘爆範囲も徐々に体得し、次はということでよりレベルの高い
宝箱が眠ると言われている龍族の巣窟・Dastardに来たという訳だ。
さすがに龍の巣窟と呼ばれるだけあり、周りは小龍のドレイク、毒龍の
ワイバーン、そして大竜のドラゴンがその辺を闊歩している。
ここの宝箱事情に関しては雪乃嬢も詳しくなかったため、ステルス状態に
なり龍たちに気づかれないよう周囲を散策する。
私はステルスに微量な光のずれを利用した技術──詳しくは書かないが
プリズムのようなものである──を用いているため、たまに周囲との
物体関係がずれて姿が露呈する場合があるが、今回は龍たちに気づかれる
前に隠れることができた。物陰に隠れれば正味7割で成功といった
ところか… もう少し訓練の余地はありそうである。
暫く歩き、やがて大きめの部屋へとたどり着いた。ここには敵もおらず、
しかも適量の宝箱が置いてあるようだ。この部屋で暫く様子を見つつ
宝を漁る事にした。中身はやはりDespiseとは比較にならないほど良く、
だが難易度もそれに比例するようで、向こうでは折ることのなかった
Lockpickがこちらのでは音を立てて折れる。幸い折れたことで鍵穴に
詰まることはなかったが、これは少し多めに持っていかなければならなさ
そうである。

と、そろそろインクが切れそうである。続きはまた補充をしてから
書くことにしよう。

		
	
back